論文:けた戦略展開~四國今治タオル集積內企業(yè)の事例研究2
ある。自社ブランド製品を製造するタオルメーカー企業(yè)の場合、自社の判斷のみで自社商
品の付加価値をより高めるために今治タオルブランドマークを付けることができる。しか
し今治での生産形態(tài)の主流はOEM生産である。OEM生産の場合、マークを付けるにも製品
ひとつにつき 20 円のコストがかかることもあり、自社に発注した企業(yè)の要望がなければ今
治タオルブランドをつけることはない。そのため今治タオルブランドを導入するタオルメ
ーカー企業(yè)が増えにくいと考えられる。村上(2009)によると今治では、「自社企畫商品の
売り上げは平均すれば 1/3 未満と推定される。産地全売上額に占める実需直結型企業(yè)の自社
企畫商品売上額は産地全売上額の約 20%という。したがって殘りの 80%は実需直結型企業(yè)
のOEM生産関連の売上額、問屋などからのOEM生産のみを行っている企業(yè)(50 社)の売
上額、他のタオル企業(yè)や卸業(yè)者からの受注生産を行っている企業(yè)(30 社)の売上額等の合
計という事になる
34
!工趣いΔ韦F(xiàn)狀である。
4-6-2-1. 今治タオルブランドの導入と各企業(yè)の反応
集積再生の手段としての今治タオルブランド設立の流れを見てきたが、ここでは先に取
り上げた集積內の 3 社が現(xiàn)狀の今治タオルブランドに対してどのような対応をとっている
かを見ていく。事例企業(yè) 3 社のうち今治タオルブランドを導入しているのは池內タオル、
七福タオルの 2 社である。
今治タオルブランドに一番好印象を持っているのは七福タオルである。七福タオルは自
社ブランド製品を売り出す際に初めて今治という言葉を使ったが、この今治という名前を
出したことによって取引がスムーズに行えたという。この経験から河北氏は今治というタ
オル産地に一定の知名度があると認識しており、今治におけるタオルブランド化が成功す
ると確信していたと語る。
河北氏:「このタオルは今治で作られてます」っていう下げ札が、大きな意味を持ってくる
んですよ。小さく社名と電話番號入れて。それを見て例えば東急ハンズで見たんだけども
うちもちょっとださせてくれませんかっていうことでロフトから電話がかかってきたり、
天満屋さんから電話がかかってきたり、他の百貨店さんから電話がかかってきたり。それ
を付けてから 20 何年間経ちますけども、私 1 回も接客営業(yè)したことないんです。向こうか
ら電話がかかってくるっていうことは、ビジネス上もう半分は成立してるのよ。実際問題
うちが小さな下げ札で今治という言葉を使わしてもらって販売をしていって今があるか
ら。まあ実績もあるからこれは成功するだろうなって言うのは疑いもしなかったね
35
。
ただ、河北氏も無條件でこの今治タオルブランドを迎え入れているわけではない。その
根底には各企業(yè)が考え方や物作り的な部分で企業(yè)ごとのカラーを出し特化していくことが
34
村上(2009)
35
2010 年 10 月 22 日 七福タオル株式會社代表取締役 河北泰三氏へのインタビューより
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「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
重要であるという思いがある。そして製品そのものに魅力があるメーカーが集積に増え、
最終的には今治という産地そのものの魅力が上がることが理想的であるとしている。そし
て今治タオルブランドを付けていることに甘え特化を怠れば集積內で淘汰されるともして
いる。
河北氏:はき違えをしがちなんだけ
……(新文秘網http://m.120pk.cn省略2565字,正式會員可完整閱讀)……
、
じゃあその後ファクトリーブランドを育てていこうと。ですからまず産地ブランドに取り
組んでいる
40
ただ、何も自社ブランドだけが生き殘る道ではなく、海外の企業(yè)に負けない競爭力を持
つことで企業(yè)を維持するのも一つの手段であるとしている。そしてそういう企業(yè)が集まる
ことが衰退していく集積を維持していくことに繋がるのではないかとしている。
木村氏:安っぽいタオルなんだけど、どこにも負けん企業(yè)。その中のクオリティやコスト、
コスト競爭力とデリバリーと取引間、そういった所で絶対に負けない。自社ブランドだけ
が生きる道じゃ無いと。中途半端はだめだけどね。でもデリバリーだけは絶対に負けない
とかね。プラスでクオリティーも負けんとか、そういうので勝ってきている會社が必要な
んだよ
41
。
4-6-3.七福タオルの現(xiàn)狀
現(xiàn)在の七福タオルは直販率が 85%と約 9 割を占める。その內訳としては小売業(yè)者や企業(yè)
への直接販売が 75%、消費者への直接販売が 10%、問屋へ卸しているのが殘りの 15%と
なっている。この小売業(yè)者や企業(yè)への直接販売の中で 45%は小売業(yè)者、殘りの 30%が販促
品である。この比率は意図的につくられたわけではない。自社ブランド製品を通して七福
タオルを知った企業(yè)から OEM 生産の仕事を頼まれて引き受けていった結果である。
河北氏:今はあの比率的に結果的にOEM生産というのは、結果論だから。ファクトリーブ
ランドの場合は、展示會とかに出ていって、アピールをするし、まあ結果的に出ていって
いるから結果的にOEM生産みたいな仕事も入ってくるのかもしれないけれど、もっといっ
たら自分で作ったものを自分で売る、みたいな。自分で企畫したものをまあ七福タオルの
名前の入ったものを売る、みたいな形がやっぱり、あれですよね、一番ですよね。OEM生
産もつまらんことでもないし、仕事だからそれはやるんですよ。やるんだけれども、OEM
生産しかしません、というのはない。自社ブランドを売ってるからこそ、OEM生産みたい
なところが自然と入ってくる。斷る理由がないでしょ
42
。
また、七福の取引先の中には物販能力はあっても企畫能力はなく、七福タオルが企畫・
デザインしたものを販売する企業(yè)がある。その取引先に対しては七福タオルが企畫を持ち
40
2010 年 10 月 20 日 四國タオル工業(yè)組合事務局長 木村忠司氏インタビューより
41
2010 年 10 月 20 日 四國タオル工業(yè)組合事務局長 木村忠司氏インタビューより
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2010 年 10 月 22 日 七福タオル株式會社代表取締役河北泰三氏へのインタビューより
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「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
かけ、自社ブランド商品のデザインを焼き直した商品の提案をするという形をとっている。
これは自社ブランド商品がそのまま取引先で販売されてると言っても過言ではない。だが、
取引先の注文を受け、指定通りに納入するという意味では OEM 生産であることは確かであ
り自社ブランドと OEM 生産を區(qū)切る事は難しくなっている。
河北氏:自社製品のようでもあり、いわゆるOEM生産、まあ注文もらってその數だけ納品
するっていったらOEM生産かもしれないけども、物づくりの原點からはめていくと、そう
なのよ。で、これがまあ本當のOEM生産って言ったら向こうから全部企畫出て、色から柄
から全部指定があって、素材から指定があってそれをそのとおり作るっていうのが下請け
というかまああれなんだけども。OEMのやり方自體も少しメーカー主體に変わってきてる
っていうのもある
43
。
しかしながら、多くの OEM 生産を主流としている企業(yè)はまだこういった形の OEM 生産
はできていないのが現(xiàn)狀である。また、四國タオル工業(yè)組合の木村氏は七福タオルのこの
あり方を「協(xié)働ブランド」と言及していた。
図 9. 七福タオルの売上高
出所:板倉(2008)より
4-6-4. 菅英紋織の現(xiàn)狀
現(xiàn)在の菅英紋織の売上は危機時の約 5000 萬円から約 2 億 5000 萬円にまで成長を果たし
ている。しかし、それは経営の方針を変えて売上を伸ばしたわけではなく、経営危機を乗
43
2010 年 10 月 22 日 七福タオル株式會社代表取締役河北泰三氏へのインタビューより
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「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
り越えた時と同様に、取引問屋の數を増やした結果だと菅氏は語る。
菅氏:タオル屋が 500 社あったときに、500 ぐらい名入れタオル、絶対やっとんです。PR
タオル。いろんなところで作ってますんで、要は競爭なんです。だから 1 件増やす・取り
に行く、1 件増やす・取りに行くということにすれば、問屋さんが日本全國に 100 件あれば、
100 別注のタオルがありまして。そいで増やしていったと44。
菅氏は自身の企業(yè)が工業(yè)製品を作る家內企業(yè)だと自負しており、今後も経営方針を大き
く変えることはないとしている。
菅氏:所詮家內工業(yè)なんですよ。いろんなやり方があって、それが、うちは要は作るメー
カーであって。製造のほうに力を入れて、このタオル 1 枚作るのにいくらのコストがかか
って、いくらで物を売っていく、そのことを追求することによって勝負をしていこうと
45
。
4-6-5. 池內タオルの現(xiàn)狀
池內タオルでは倒産當時700萬円しかなかった自社ブランドでの再生計畫を立案したが、
現(xiàn)在では約 4 億円にまで売上を伸ばしている。そして、その根底には IKT の持つコンセプ
トが今の消費者にマッチしていることと、エンドユーザーのクレームに対する誠心誠意の
対応により消費者と深い関係が築けていることがあると池內氏は語った。
池內氏:それでいって受け入れてくれている、マッチしている、消費者と求めているもの
とマッチしているから、ステイクホルダー関係の維持っていうのも出來たのかな、という
ことですかね
46
。
池內氏:池內タオルの一番の強みはエンドユーザーさんと全部社長が直接コミュニケー
ション取ってることっていいますけど、エンドユーザーが會社に連絡してくる時って、ク
レームしかないんだ。大體池內タオルの熱烈なファンは大體クレームで知り合った人たち
だけど。クレームのお客さんにはすごい誠心誠意ですよ。パーフェクトですよ
47
。
また、池內タオルでは現(xiàn)在タオル以外の織物製品の開発にも積極的に関心を示している。
具體的な取り組みとして、コンサルティング組織を介入させ子供服業(yè)界進出のためのコネ
クションを構築するなどしている。
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2010 年 11 月 10 日 菅英紋織株式會社代表取締役 管紀美彥氏へのインタビューより
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2010 年 11 月 10 日 菅英紋織株式會社代表取締役 管紀美彥氏へのインタビューより
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2010 年 8 月 5 日 池內タオル株式會社代表取締役 池內計司氏インタビューより
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2010 年 8 月 5 日 池內タオル株式會社代表取締役 池內計司氏インタビューより
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「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
池內氏:織り物っていう面ではなんでも織れるんです。ノウハウさえあれば。だからうち
は、トータルオーガニックテキスタイルメーカーになりますとVCに向かっては提案してい
る、それはまあ基本的には織物全部やるよとオーガニックに関しては。後は資金しだいで
テキスタイル以外もするかもしれない。誰もが欲しがってるのはうちの「最大限の安全と
最小限の環(huán)境負荷」のライフスタイルなんだからね
48
。
図 10. 池內タオルの売上高
出所:日経ビジネス 2010 年 5 月 3 日號より筆者作成
まとめ
さて、ここまで今治タオル産業(yè)と事例企業(yè) 3 社との関わりや歴史、行動を見てきたが、
それらの関係性を図としてまとめると以下のようになる。
48
2010 年 8 月 5 日 池內タオル株式會社代表取締役 池內計司氏インタビューより
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「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
図 11. 池內タオル事例
集
積
してと
の
代區(qū)分時
91
3年5
91
9年5
91
6年6
91
9年6
91
0年7
91
1年7
91
2年7
91
5年8
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6年8
91
7年8
91
8年8
91
9年8
91
0年9
91
1年9
91
2年9
91
3年9
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4年9
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5年9
91
6年9
91
7年9
91
8年9
91
9年9
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0年0
02
1年0
02
2年0
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3年0
02
4年0
02
5年0
02
6年0
02
7年0
02
8年0
02
9年0
後戦
興期復
定安
長期成
退衰期期盛最
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ガードフ
請申
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業(yè)界構ル
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內タ池
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內忠池
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業(yè)創(chuàng)
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進推
業(yè)事
助補
金
52
「産業(yè)集積における企業(yè)の生き殘りをか
けた戦略展開」
図 12. 七福タオル事例
積と集
し
て
の
代區(qū)分時
91
95
年
91
07
年
91
17
年
安
定
成
長
期
91
58
年
91
68
年
91
78
年
91
09
年
91
19
年
91
49
年
91
59
年
91
69
年
91
79
年
02
0
年
02
10
年
02
20
年
02
30
年
02
40
年
02
50
年
02
60
年
02
70
年
後戦
興期復
盛最
期
退衰
期
地知の名治ういと今
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業(yè)営
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舞い込も
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リオ
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誌雑
取り上げに
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急ハンズ東
力的な姿協(xié)
勢
談・商
力協(xié)
渉交
想構
渉交
屋問
出會示展展の外海
本日
易振興機貿
構
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オル業(yè)界タ
構
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二
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國進出企中
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業(yè)組合工
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